特定非営利活動法人 イージェイネット(Ejnet)

医療業界の就労環境改善や、適正な人材評価が行われるための仕組みづくりをお手伝いします。

Ejnetメルマガバックナンバー・第4号

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◆◇NPO法人イージェイネット メールマガジン第4号◇◆
「時代をリードする医療人が働きやすい病院の作り方、お教えします」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010/3/20━━━
◆◇━━━━━━━━◆◇◆今月のニュース◆◇◆━━━━━━━━━◆◇

〔1〕第1回イージェイネット キャリアイノベーションセミナー実施報告
      ・実施報告:セミナー担当理事 藤巻わかえ氏
    ・セミナー参加者の感想
〔2〕『イージェイネットがズバリ聞く!働きやすい病院の作り方 Q&A』
    回答者:福井県済生会病院 産婦人科医長 里見 裕之氏
〔3〕イージェイネット会員の活動報告、これからのイベントのお知らせ
      ①香川県:女性医師の環境整備に関する講習会の実施報告
    ②ホスピレート説明会の日程(3月分)等
〔4〕NPOイージェイネット 事務局よりお知らせ

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◆イージェイネットは、3月7日(日)に初の試みである第1回キャリアイノ
ベーションセミナーを東京で開催いたしました。
セミナーには女子医学生と若手女性医師8名が参加しました。講師にお迎え
した武曾恵理氏(イージェイネット理事)のお話と参加者同士の討論スタイ
ルが大好評でした。
藤巻わかえ氏(セミナー担当理事)からのご報告と、参加者の女子医学生
女性医師の生の感想をお届けします!
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[1]第1回イージェイネットキャリアイノベーションセミナー実施のご報告
キャリアイノベーションセミナーは、次世代のリーダー育成とネットワーク
作りを目的としてスタートしました。
第1回は、病院管理職としてご活躍の武曾恵理先生に、どのようにキャリア
を繋げ現在管理職として働いているか、という個人史をお話いただき、それ
をもとに女子医学生と若手女性医師(計8名)が議論しました。
議論の骨子は「医師は特別な職業。自己実現のために、自分が目指す科に進
み、患者さんを全人間的に診ることのできる医師になりたい。
しかし、そのためのキャリアアップには様々な障壁がある。家庭と仕事の理
想的なバランスは個人・男女により違って当然だが、問題なのは、その実現
を阻害する外的因子があるということ。それを解決するシステムが必要で、
男性とともに考えるべきだ。
トップとしての能力が育まれるためには、こどもの頃からの様々の経験の積
み重ねも重要なのではないか、ということでした。
将来に不安を抱いていた参加者が、お互いの気持ちを存分に言うことで仲間
意識が生まれ、一緒に頑張ればきっと道が拓けるという勇気をもつことがで
きたようです。
アンケート結果では、討論形式が全員に支持されました。次回のテーマ希望
は、システムや制度としての女性医師支援策が大多数を占めました。数人の
学生が学生プログラム委員に名乗りを上げてくれましたので、これから一緒
に企画準備をして参ります。
講師およびチューターを務めて下さいました武曾恵理先生、そして一般企業
の管理職の立場から貴重なコメントを頂きました久野浩子様に感謝いたします。
●女子栄養大学 人間医科学 教授
藤巻 わかえ氏(イージェイネット副代表・セミナー担当理事)
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◆今回のセミナー参加者8名のアンケート結果&感想を一部ご紹介いたします。
1)参加者8名の所属:女子医学生4人 (2年生2人、5年生2人)
           女性医師4人   (研修医3人、病院勤務医1人)
2)今日のセミナーの内容に興味がもてたか?
  →強くそう思う6人、ややそう思う2人、他0人
3)このセミナーの意味と流れを理解できたか?
  →よく出来た7人、やや出来た1人、他0人
4)参加者を中心とした討論形式は良かったか?
  →強くそう思う8人、他0人
5)このセミナーは、将来の自分のキャリアパスに役立つと思うか?
  →強くそう思う7人、ややそう思う1人、他0人
6)全体としてこのセミナーに参加して良かったと思うか?
  →強くそう思う7人、 ややそう思う1人、他0人
7)今後とりあげて欲しいテーマは?(複数回答可)
  第1位:女性医師支援制度 7人
  第2位:仕事と家庭の両立 6人
  第3位:留学       5人
  第4位:キャリアパス   4人
  第5位:結婚       3人
  その他:学位取得、専門医取得など
8)今日のセミナーについての感想や要望は?(自由意見)
■女性医師の働き方について考える1つのきっかけになった。
■自分自身もキャリアをめざしているので、参考になった。
■社会全体の女性医師を考えた時に、男性医師(配偶者・上司)の理解は
不可欠だが、今回はあまり議論できなかった。
■武曾先生や参加者の皆様のお話がとても勉強になった。色々な方と出会
えて良かった。これから一緒に活動できたらと思う。
■このように少人数かつディスカッションの時間を多くとることは初めて
で 自分の意見の整理や、色々な立場の方のご意見などを聞けたことが、
とても大きな収穫になった。
■進路の選択には悩まなかったものの、入局後、周囲から女性としての人
生をあきらめたのかとの言葉が相次ぎ、非常に悩んでいた。でも、理解し
てくれる上司に恵まれたりしている。
今後も人生を豊かに過ごすことはあきらめずにキャリアアップしていきたい。
■今日の勉強会で気付いた事は、自分の意識をいかにコントロールするか。
■いつか女性医師支援制度を具体的にテーマに取り上げて欲しい。
9)自分の将来についてや、夢や不安などを教えて下さい。(自由意見)
■子どもを産むなら、いつが良いか等を考えてしまい、キャリアが心配。
■出産後、研究から離れてしまうことが不安。
■留学に興味がある、時期的に大変悩んでいる。また、専攻の科もどう決
めていくか。
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[2]『イージェイネットがズバリ聞く!働きやすい病院の作り方 Q&A』
   回答者:福井県済生会病院 産婦人科医長 里見 裕之氏
前回配信しましたメルマガでは、福井県済生会病院長の田中延善先生から
「働きやすい病院の作り方~働き甲斐のある病院とは~」についての熱い
メッセージを頂きました。
今回のメルマガトピックスでは、実際に産婦人科医として働いておられる
里見裕之先生に、働きやすい病院の具体的な取り組みについて、イージェ
イネット的視点から、具体的にいろいろ質問してみました。
メルマガ読者の皆さまにも、ご参考になる取り組みも多々あるかと思われ
ますので、ぜひご一読ください。
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【Q1】
福井県済生会病院について、簡単にご紹介をお願いいたします。
【A1】
当院は、福井市の人口約28万人を筆頭に、嶺北地方65万人の医療圏を
福井大学病院、県立病院、赤十字病院とともに担う急性期基幹病院です。
福井市東部に位置し、病床数466床( SCU 6床、緩和ケア20床)の
認可を受け、がん拠点病院、地域医療支援病院および、健診センター、老
人保健施設、乳児院も含めた医療福祉センターとしての役割を求められて
います。
現在の職員数は1129名(非常勤職員も含む)でその77%が女性職員
であり、看護師(545名)、医師(20名)、薬剤師、放射線技師、臨
床工学技士、栄養士、事務職員、合わせて869名の活躍抜きには医療、
保健、福祉を統合した総合医療を成り立たせられない現状にあると考え
ます。
さらに医療のリーダーとなる医師の確保と育成に関しても、研修医の半数
以上を女性医師が占めるようになっており、そのサポートは最重要になっ
てきています。
当院には女性診療センター(婦人科、乳腺科、泌尿器科、肛門科、メンタ
ルヘルス)を始めとして、健診センター、リハビリセンター、透析センタ
ーなどがあり、育児中にも女性医師が活躍できる場を提供できると考えて
います。
【Q2】
福井県済生会病院が3年前にイージェイネットの働きやすい病院評価事業
(ホスピレート)を受審するに至った経緯を教えて下さい。
また、これまでに貴院で取り組まれている女性医師や看護師の方達への具
体的な就労継続支援や環境整備についても、詳しく教えてください。
【A2】
2007年3月に当院は、 Ejnet が認定する「ホスピレート」を受審し、北
陸地方で初めて「働きやすい病院」として認定を受けました。当時、病院
長であった三浦將司総長は病院こそ「人」によって支えられており、医師、
看護師をはじめとした医療従事者の教育機関でもあるという認識を持ち、
長年「働き甲斐のある職場」を目指して日々取り組んでこられました。
彼の信念は「モチベーションが高く、意識づけされた職員こそが、患者さ
んの親身になれて信頼される医療を提供できる」であり、そして「人材=
人財」の喪失は当院だけでなく社会的損失につながるとの考えから、ホス
ピレート受審を就労環境(育児支援、介護支援、復職支援)、福利厚生な
どの見直しを図り、職員満足の向上のきっかけとされました。
北陸地方は、もともと女性の働きが地域を支えており、中でも福井県は共
働きの割合が全国で最も高い県です。さらに合計特殊出生率が毎年上位で
あり、このことは産み育てることが他県に比べてハードルが低い(協力者
を得やすい)ことを示しています。実際、保育所以外に、当院にも24時
間利用可能な保育施設を兼ねている乳児院を備えています。
看護師の就労支援対策については、元々7対1看護配置体制導入の際、県
内の新卒看護師を首都圏の大学病院に奪われた現実から、人材確保の重要
性が増大したこともあり、当院では離職防止プロジェクトの立ち上げや育
児休業後の復職に際して柔軟な対応を取っています。
一例として2008年4月より、正規職員短時間勤務制度を導入して、勤
務時間6時間(週30時間)としたことです。復職へのハードルを下げる
この試みは、家庭の事情や体調不良により夜勤免除などの「選べる勤務体
制」とともに、チームワークの結束に役立つ側面をもたらしました。
多様な働き方を認めることにより、それぞれが抱える困難をチームで共有
することができ、実際、先輩ナースは自分の経験を伝えることができたり、
後輩ナースにとっては将来のモデルケースになるなど有益なコミュニケー
ションを生み出しています。
また、女性医師の現状に関しては、福井県済生会病院産婦人科は平成20年
度(6名)、21年度(7名、うち育児休業1名)22年度(9名)とスタッフが
増員中です。4月には産婦人科医9名のうち、後期研修医を含め5人の女性
医師体制となります。
当院では、医師は週32時間で常勤になれる雇用制度を取り入れています。
働きやすく学べる病院としての認識が深まり、放射線科医師、健診セン
ター医師の短時間正規雇用も決まっています。
来年度も女性診療センターに入局の希望が4名あります。看護師も週30時
間(短時間正規雇用)のシステムを利用し、離職防止の効果があり、今年
度も採用増加にもつながりました。
【Q3】
働きやすい病院評価事業(ホスピレート)を受審したことで、病院内に働
く医師や看護師さん、その他のスタッフの皆さんや、病院を利用されてい
る患者さんなどに、何らかの反響等がありましたらぜひ教えてください。
【A3】
ホスピレート認定を受けてすぐには反響はありませんでした。
しかし認定を受けることは、当病院が働きやすい環境を考えている姿勢を
示す一つの良い手段であったと考えています。
その後に、ベストホスピタリティー賞の設置や、リフレッシュ休暇制度の
義務化、 リマインドDVD作成などいろいろ打った手法の効果があったため、
職員満足度が上がっている印象です。
また苦情の投書が減り、職員を褒める内容が増えています。 褒められた
職員や部署のモチベーションが上がる効果が出ている印象です。
【Q4】
先月号のメルマガで、福井県済生会病院の田中院長先生からのメッセージ
にもありましたが、医師同士や他職種とのコミュニケーションの向上のた
めに実施しているという「リーダー研修」について、具体的な内容や、研
修後の得られた効果等についても教えてください。
【A4】
リーダー研修は看護師は主任以上、医師も医長以上、他の職種も主任以上
を対象にしています。毎年3~4回程度実施していますので、既に15回ぐら
いは実施しました。
リーダー研修で扱うテーマは、「病診連携」「退院逆紹介率のアップ」、
や「研修医の満足度」「病院のコスト削減」「在院日数14日間以内」「看
護師の離職防止」「職種間の垣根を取り除く」「救急センターの運営」な
どです。
ちなみに私は「ベッドサイドから全ては始まるを実行するために」を担当
しました。
リーダー研修では、医師、看護師、薬剤師、事務職、栄養管理士などが集
まり,職種を超えて討議します。 この問題解決するプロセスで、職種間の
コミュニケーションの向上が図られ、言いたいことが言えるチームができ
ます。 看護師や他職種が出す意見の方が、現場に即していることが多く、
現場の声を吸い上げることになります。
今まで医師の判断で多くのことが決まっていましたが、 医師が部分最適を
考えるのではなく、全体の適合を考えるようになり、組織だった動きに変
わっていく効果がありました。
【Q5】
外来には、メディカルコーディネーター(MC)がいらっしゃるとのことです
が、どのような方が担当されていますか?また、その役割を担うために必
要なスキルや、どの部門で働かれているのか、メディカルコーディネータ
ーを配置したことによるその効果についても教えてください。
【A5】
メディカルコーディネータ(MC)は看護師出身の方が多いですが、白衣は着て
いません。外来における説明対応の専任看護師として始まりました。患者
さんやその家族の不安をとるために、十分な説明が必要と考えらえ、設置
されたと聞いております。
当初一人から始まり、その後、看護師以外の方も加わり現在5人に増員され
ています。
患者さんは医師の前では頭が真っ白になり、聞き返せないことも多いと言
われます。 リラックスし、クリニカルパスに沿った入院経過の説明をうけ、
入院費用の概算などを聞かれます。 個室の希望や、家庭の事情など話した
いことを全部話してもらう仕組みになっています。
患者さんとその家族の不安が少なくなり、トラブルが未然に防がれていると
感じています。
【Q6】
最後に、イージェイネットメルマガ読者にお知らせしたいメッセージがあ
りましたら、よろしくお願いします。
【A6】
『情けは人のためならず』
女性医師は大変責任感が強い方が多いと感じています。そのため自己目標
のハードルを下げることがなかなか難しい方もおられます。女性医師が復
職にためらいがあるのはそのためだと強く思っています。病診連携、2人
主治医制などを取り入れて、チーム医療を推進している病院であれば、感
じる責任の負担も少し軽くなるのではないでしょうか。
主治医制のメリットは成長期の医師にとっても、患者さんにとっても大き
かったと思いますが、今後はチーム医療の推進こそが、女性医師はもとよ
り医師全体の就労環境の改善に直結すると考えています。女性は家庭に帰
っても、さらに仕事が待っているという現実が見える医療人でないと、本
当の意味で同僚にも患者さんにも優しくできないと思います。
この理解のある上司、同僚こそが、同じ医療人である女性医師を仲間とし
て復職させることができるキーマンだと思っています。
●社会福祉法人 恩賜財団済生会支部
福井県済生会病院 産婦人科医長 里見 裕之氏(イージェイネット理事)
福井県済生会病院ホームページ
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〔3〕イージェイネット会員の活動報告、これからのイベントのお知らせ

①<香川県:女性医師の環境整備に関する講習会の実施報告>

先日3月7日に、香川県医師会が開催する「平成21年度女性医師の勤務環境
の整備に関する病院長、病院開設者・管理者等への講習会」に、イージェ
イネットの武曾理事が講師として招かれ、お話しました。
武曾理事がお話した内容は『「働きやすい病院」に向けた実効性のある取
り組みを目指す』です。
今回の講演会では、県下各病院の病院開設者、管理者等70名弱の参加があ
ったそうで、大変有意義な会となりました。
↓詳しい内容は、ブログに掲載中です。

②<ホスピレート(病院評価事業)説明会>

●2010年3月の予定
(1)3月16日(火)13時~14時     イージェイネット東京事務所
(2)3月19日(金)14時~15時     イージェイネット大阪事務所(分室)

③<「働きやすい病院評価事業」認証判定委員会>
日時 :3月28日(日)13時30分~15時30分
場所 :イージェイネット東京事務所
参加者:評価委員のみ

*********<♪NPOイージェイネット 事務局よりお知らせ♪>************
今回お送りさせて頂いた3月配信(第4号)のイージェイネットメールマガジン
は、いかがだったでしょうか?
初の試みとして、イージェイネットはキャリアイノベーションセミナーを開
催いたしましたが、セミナー担当の藤巻わかえ理事からのご報告等にもあり
ますように、参加者同士の皆さんがいろいろと話し合う場が持てたと大変好
評だったようです。今後も、イージェイネットはこのような企画を随時開催
したいと思っております。
また福井県済生会病院の里見裕之先生からのQ&Aから、福井県済生会病院
が積極的に取り組んでいる就労支援等の環境整備が、実際に働いておられる
医療従事者スタッフへの支援のみならず、全ての取り組みが、利用している
患者さまへの医療サービスの向上につながっているように思いました。
当メルマガでは、当NPOのホスピレート認証を実際に受けている病院より教
えて頂いた「働きやすい病院づくり」のポイントなど、参考になる情報を定
期的にお届けしますので、今後ともNPO法人イージェイネットの活動にご支
援くださいますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
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NPO法人イージェイネット http://ejnet.jp/
(特定非営利活動法人 イージェイネット(女性医師のキャリア形成・維
持・向上をめざす会))
NPO法人イージェイネットブログも更新中!
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の藤川までご連絡をお願いします。
(お問い合わせ先 ejnet-office@umin.ac.jp メルマガ担当藤川)
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