特定非営利活動法人 イージェイネット(Ejnet)

医療業界の就労環境改善や、適正な人材評価が行われるための仕組みづくりをお手伝いします。

メルマガバックナンバー・第44号

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◆◇NPO法人イージェイネット メールマガジン第44号◇◆
「時代をリードする医療人が働きやすい病院の作り方、お教えします」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013/7/31  ━━

◆◇━━━━━━━━◆◇◆今月のニュース◆◇◆━━━━━━━━━◆◇
〔1〕『 イクメン系家庭医(総合診療医)を目指して 』
   ◆広島大学病院 総合内科・総合診療科   横林 賢一 氏
   『 仕事と子育ての両立に向けて
   ~ママさん医師Facebook(FB)のネットワーク作りの取り組み~ 』   
   ◆広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 
    統合健康科学部門 皮膚科学       横林 ひとみ 氏
〔2〕全国私立医科大学同窓会連絡会
  第23回全国会における決議に基づいた社会発信
  私立医科大学病院内保育所運営に対する公的補助拡充の要望
   ◆帝京大学女性医師・研究者支援センター  野村 恭子 氏
    (NPO法人イージェイネット理事)
〔3〕イージェイネット事務局からのお知らせ   
   ①新刊本のお知らせ 
    『「時間がない」から、なんでもできる! 』 
     サンマーク出版  吉田 穂波 氏 (著) 
    ②働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会など
〔4〕メルマガ事務局より編集後記
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〔1〕『 イクメン系家庭医(総合診療医)を目指して 』

 私は診療所等で外来・訪問診療を行う家庭医療・在宅医療を専門にし
ており、現在は大学病院の総合診療科に所属しています。週1日は山間部
の救急総合診療、週半日は訪問診療を、他の日は大学病院で診療・教育・
研究を行なっています。2歳半の娘と皮膚科医の妻と3人で暮らしていま
す。
 家庭医は、病気のみならず、家族、生活背景まで一緒に診ることを大
切にしています。その影響もあるかもしれませんが、子供ができたら
「育児を手伝う」のではなく妻と「一緒に」家事・育児を行なうという
感覚で臨みたいと考えていました。具体的には、洗濯や風呂入れ、ちょ
っとした時間に子供と過ごすなどをベースとしながら、かといってお互
いの家庭内の仕事を明確に区分けせず、その時々のお互いの状態を見な
がら思いやりを持ってできることをやる、ということを意識しています。
 とはいえ、そううまくいくわけではありません。「子供が生まれたら
子供中心の生活になる」とは聞いていましたが、本当にその通り。だら
だらテレビを見たり、気ままに飲みに行ったりということはできなくな
り、生活スタイル・時間の使い方はすべて子供中心となりました。一方
で私は出張が比較的多く、その分妻に負担をかけていることに申し訳な
く思っていました。妻も同じ職業なのに。 
 夫婦でのんびりテレビを見ることは難しくなりましたが、それでも時
々は子供が寝た後に楽しみに見るテレビ番組があります。NHKの「すく
すく子育て」です。ある日、私たちがファンの大日向雅美先生がおっし
ゃっていました。「生活は確かに子供が中心になりますが、お父さんお
母さんの人生の主人公が自分自身であることに変わりはないのですよ」
と。
 その言葉を聞いて、娘のお陰で私たちの人生がより豊かになっている
ことに気付きました。そして、豊かな人生を大切にするためにも、職場
のスタッフと協力してそれぞれの自由な時間を捻出できるよう勤務形態
を調節し、私はより多くの時間を家族と過ごせるようになりました。 
  不思議なもので、かつては同じ医師であるのに家庭内の事をたくさん
してくれる妻に申し訳ないという気持ちが強かったのですが、それから
は感謝の思いが強くなり、「ありがとう」を前よりも口に出すようにな
っていました。 
  広島県は、知事自らが育児休暇をとるなど、「イクメン」に力を入れ
ています。何をどのくらいやったらイクメンと呼ばれるのか分かりませ
んが、子供や配偶者、支えてくれる方々、そして自分を大切にし、豊か
な人生を送るために一緒に話し合い、思いやりを持った行動ができるイ
クメンになれたらいいなと思っています。 
  パパ歴2年ちょっととまだまだひよっこな私ですが、娘や妻、そして
支えてくれる多くの方々とともに豊かな人生を歩んでいきたいと思いま
す。
   ◆広島大学病院 総合内科・総合診療科   横林 賢一 氏
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『 仕事と子育ての両立に向けて
   ~ママさん医師Facebook(FB)のネットワーク作りの取り組み~ 』
 初めまして、前述のイクメンの妻の横林ひとみと申します。
私は現在2歳児の母でもあり、広島大学皮膚科の大学院に在籍しており
ます。出産前はフルタイム勤務をしていましたが、出産後非常勤勤務で
復帰し、その後大学院への進学を決めました。
 仕事と子育ての両立についてまだ母2年生の私が大きい顔して述べられ
るようなことはないのですが、私の周りを取り巻く環境、FBでの取り組
みについてご紹介させていただき、みなさまのお力になれればと思いま
す。
 長女を2年前に出産し、初めて母親となり育児の世界に入りました。
しかし初めてのことばかり、育児は楽しいこともたくさんありますが、
どうしていいかわからないこともたくさんありました。そんな時育児の
ことについて、悩みでもわが子自慢でも気兼ねなく話し合えるような場
をつくろうということで私はFBママ友クラブを作り、主人はFBパパ友ク
ラブを作りました。
 メンバーは自分のFBの友達で育児中の方に声をかけ、友達の友達まで
とし秘密のグループにしてメンバーの誰とも面識のない方の参加はご遠
慮いただくことにしました。そうすることで、実際会ったことがある、
あるいはその友達の方と気兼ねなく意見を交換できると考えたからです。
 育児に関する困ったネタから仕事に関するネタまで様々な内容につい
て互いに意見交換をしています。特に母乳ネタなどはかなり盛り上がっ
ていました(笑)
 そして私は周りに子育てしながら大学院に進学した先輩が同じ皮膚科
ではいなかったので、両立できるかが不安になりFBママ友クラブで相談
し、背中を押していただきました。ロールモデルとなる人が、万が一近
くにいなくてもこのようなつながりで補完することはできるのだなと感
じた瞬間でした。
 子育て中の悩みはどんな偉い先生からいい言葉をもらうよりも、同じ
ような境遇の人からアドバイスをもらった方がすっきりするという話し
を聞いたことがあります。働いているとなかなか仕事場では子育ての困
ったこと、情報交換などできないですし、日中働いているので育休中に
比べるとママ友ともじっくり話しをする機会が少ないなとも感じます。
 そんな時にこのようなソーシャルネットワーキングを使って色んな地
域のいろんな立場のママたちと会話ができると悩みが解決できたり、楽
しく日々が送れるようになったりします。みなさんも周りの人を誘って
自分たちのグループを作ってみてはいかがでしょうか?
    ◆広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 
        統合健康科学部門 皮膚科学    横林 ひとみ 氏
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〔2〕全国私立医科大学同窓会連絡会
  
    第23回全国会における決議に基づいた社会発信
  私立医科大学病院内保育所運営に対する公的補助拡充の要望
 平成25年7月8日15時30分より厚生労働省記者クラブにて私立医科大学
病院内保育所運営に対する公的補助拡充の要望の記者会見を行いました。
 発表者は野村 恭子(帝京大学医学部同窓会理事,同大女性医師・研
究者支援センター室長,同医学部公衆衛生大学院准教授)、池田 美智
子先生(慶大医学部同窓会理事,同医学部耳鼻咽喉科教室同窓会長,池
田耳鼻咽喉科院長,Dr.MOM Nursery School(女性医師のための保育園)
園長)と吉野 肇一先生(全国私立医科大学同窓会連絡会第23回全国会
会頭,慶大医学部同窓会評議員会議長,国際医療福祉大学病院消化器科
教授,元慶大看護医療学部長・同大学院健康マネジメント研究科委員長)
の3名により、全国私立医科大学同窓会連絡会第23回全国会における決議
に基づいた社会発信として行いました。
 会見は30分で野村より我が国の女性医師の現状について、女性医師は
医師として修練の必要な時期と結婚・出産・育児といったライフイベン
トが重なりキャリアを構築することが困難である説明を行いました。発
表のスライドは野村が文部科学省の科学研究費で行った私立医科大学14
校の合同調査の結果女性は男性医師に比べてフルタイムで働く割合が低
いことや週あたりの労働時間が短いことなどを紹介しました。そしてそ
の結果、全国医学部・医学会・医師会におけるいわゆる管理職相当にお
ける女性の占める割合が非常に低く、OECD諸国中、医師全体に占める女
性医師の割合は日本で最低であることを報告しました。
 女性医師のための保育所を設立・運営と同時に耳鼻咽喉科院長として
も活躍している池田美智子先生は病院内保育所助成制度について概要を
説明した後に2008年に日医総研による調査を引用し院内保育所に関わる
1施設辺の赤字は年間1,224万円であり、補助金は人件費のたった2割
程度しかカバー出来ていないこと、国立に比べ私立にて保育施設の整備
が遅れていることを報告しました。さらに平成23年度全国医学部長病院
長会議による女性医師の就労環境に関する実態調査より女性医師は初期
研修医、常勤・非常勤医師すべてのグループで国立にくらべ私立医科大
学付属病院に所属して働いている人数が多いことが報告されました。
 最後に院内保育所設置の効果として日医総研から保育所のある施設で
は常勤医が1.5名、ない場合には1.1人の在籍数から院内保育があれば1.
36倍女性医師が多くなると試算し、現在院内保育の無い国立2校×常勤
在籍数32人/1施設×0.36=23人に比し私学では院内保育の無い6校は×
常勤在籍数96人/1施設×0.36=207人と私学における公的補助拡大が費
用対効果に富むことを発表しました。 
 全国私立医科大学同窓会連絡会第23回全国会会頭の吉野肇一先生から
は院内保育所に必要な補助金として日医総研のデーターをもとに1施設
あたり1224万円の赤字の50%の補助金あるいは1施設あたりの人件費17
89万円の赤字の50%の補助金の要望を発表しました。後者の場合市立医
科大学29校に894万をかけ約2.6億円の補助金にて常勤・非常勤合わせて
約300名強の実働女性医師増加を見込むことができると締めくくりました。
 今後、厚生労働省に要望書を提出する予定です。今回の発表は昨年11
月に慶應義塾大学医学部同窓会が主管となって開催された第23回全国私
立医科大学同窓会連絡会における決議に基づくもので今年11月に近畿大
学医学部同窓会が主管となり開催予定の全国会にて報告を行う予定です。
↓イージェイネットHPにも掲載しています♪
   ◆帝京大学女性医師・研究者支援センター  野村 恭子 氏
    (NPO法人イージェイネット理事)
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〔3〕イージェイネット事務局からのお知らせ
 
 ①新刊本のお知らせ
★イージェイネット会員でもあり、当メルマガにも昨年コラムをご寄稿
 頂いた吉田穂波先生が新刊本を出されました。吉田先生曰く「一人で
 頑張らず,周りを巻き込んで」がテーマだそうです。ぜひ御一読を♪
<<内容紹介より一部抜粋>>
 目が回るほど忙しい。仕事に追われ、自分の時間がない。子どもが小
さいから、やりたいことは何もできない……そんなふうにあきらめてい
ること、ありませんか?時間の制約があって、やらなければならないこ
とに埋もれているとき。そんなときこそ、やりたいことを始める最大の
チャンス。時間がないということは、集中のカギであり、なによりの時
間術。
本著者の周囲の人たちの力を上手に借り、周囲の応援を力に変えてきた
仕事・子育て・受験勉強の「同時並行」のリアルな話は、思わず圧巻で
す。
時間も制約も味方につけて、やりたいことを、ぜんぶまるごとかなえる
ヒント。これを読めばまさに目から鱗が落ちて、何かを始めたくなるこ
と請け合いです!  
 『「時間がない」から、なんでもできる! 』 
  サンマーク出版  吉田 穂波 氏(著) 
↓サンマーク出版HP
↓「サキ読み」サービス ご購入前に、1章分を読むことができます
↓アマゾンにて予約販売中です♪
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 ②働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会など
  東京と大阪にて、働きやすい病院評価・認証の説明会を
  事前予約制にて開催しております。
  説明会参加の旨をお申しでいただきましたら、
  随時、個別にて調整をさせていただきます。
  詳細は、イージェイネット事務局までお問い合わせください。
【東京会場】
        株式会社アポプラスステーション 会議室
    〒102-0071 東京都千代田区富士見二丁目7番2号
    ステージビルディング9F・10F
    JR飯田橋駅 東口/西口 徒歩3分
    東京メトロ 飯田橋駅 東西線 A4出口、有楽町線/
    南北線 B2a出口 徒歩2分
【大阪会場】
        株式会社アポプラスステーション 大阪支店 会議室
    〒541-0043
    大阪府大阪市中央区高麗橋四丁目3番7号 北ビル5階
    大阪市営地下鉄 御堂筋線 淀屋橋駅12番出口より徒歩2分

******<♪NPOイージェイネット メルマガ事務局より編集後記♪>*******
 7月配信(第44号)のメルマガはいかがだったでしょうか?
今月は広島大学の横林先生ご夫婦による、男性医師・女性医師両方からの仕
事と家庭の両立に向けたメッセージを書いて頂きました。これまでの男性医
師の働き方は本当に多忙な中、イクメンとは程遠く一生懸命仕事に邁進され
てきた方が多いかと思われます。しかし多忙な中でも賢一先生の工夫や取り
組みを拝見し、男性医師でもイクメンになれる可能性は多いにあるのかなと
思いました。ひとみ先生のFBを使った子育て情報交換はイマドキの若い世代
にとって気軽で参加しやすい有効な方法をご提示して頂いたと思います。
 次号はお二人の取り組んでおられる研究等をご紹介いただく予定ですので
お楽しみに♪
 当メルマガは、会員や読者による参加型の情報発信を目指しております。
皆様からぜひ載せたい記事やご意見等ありましたら、ご遠慮なくお申し出下
さい。どうぞよろしくお願いいたします!!(藤川)
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 NPO法人イージェイネット  http://ejnet.jp/ 
(特定非営利活動法人 イージェイネット(女性医師のキャリア形成・
 維持・向上をめざす会)) 
*NPO法人イージェイネットブログも更新中!  
 このメルマガに対し、ご意見・ご感想・ご質問がありましたらメルマガ
 担当の藤川までご連絡をお願いします。 
(お問い合わせ先  ejnet-office@umin.ac.jp  メルマガ担当藤川) 
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